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恋するパン、溶ける心とチョコレート 第2話 ~バイバイ、うみと空~【短編小説】

DATE
2016.12.26
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「君も、パンが好き?」

突然、「遠くへ行きませんか?」と言い放った見ず知らずの私に対して、本題をはぐらかすかのように、彼はパンが好きかどうかを聞いた。照れ隠しだったのかな。私が最近好きなのは「逃げるが恥だが役に立つ」というドラマで、ドラマに出てくる平匡さんも照れ隠しで関係のないことを話したりするもんね。

 

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「パンは好きです。行ってみたいパン屋があるんです。だから一緒に、パン屋を巡る旅にでないかなあ……なんて」

「君の名前は?」

「うみです」

「うみちゃん。僕の名前は、空です。いいよ、旅にでよう。パン屋を巡る旅に」

「ほ、本当に……!?」

 

私は何が起こっているのかわからなかった。テンパって、目の前にいる「運命の人」候補のイケメンの顔もわからなくなるくらい、頭の中が混乱していた。でも、行けるんだ。一緒に、パン屋を巡る旅に。どうしよう、嬉しい!

 

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「空さん、あのね。川口においしいクロワッサンケーキのお店があるの。一緒に、行こう」

私はふと、川口に行ってみたかったお店があることを思い出して、彼に聞いた。そして私たちはその店へ向かうことになった。秩父から川口までは電車で約2時間。同じ埼玉なのに、けっこう遠い。

電車に乗った私たちは、車窓から流れる景色を眺めながら、何も話さなかった。それでも彼が何を考えているか、私には少しだけわかった。彼もきっと、この先の未来なんてどうでもいいと思ってる。仕事、人生、恋人。そんなのすべてがどうでもよくて、だから私の誘いに乗ってくれたんだ。遠くの景色を眺める横顔を見て、それがわかった。

 

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「運命なんだ、今日は。たぶん、僕は君のことを全部知っていて、秩父の店に向かった。君に出会うべくして、出会った。ごめん、意味不明だと思うけど、でもそういうことなんだと思う」あーやっぱり。同じこと、考えてる。

 

ねえ空くん。まだあの季節のことを思いだすよ。君に出会った秩父のパン屋、おもむろに乗ったローカル線。

 

……そして君が、いなくなってしまったあの日のこと。

 

第3話につづく

 

▼物語の後に、こちらのパンはいかが?

埼玉県の贅沢なご当地パン! デイジイの「クロワッサンB.C.」

 

恋するパン、溶ける心とチョコレート 第1話 ~君の名は、何?~【短編小説】

 

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。

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