パンハンター じぇしかのWebメディア「パンの断面」2020年8月掲載記事からの転載です。元記事を読む
千石駅と白山駅のちょうど中間あたりにあるこちらのお店は、2020年の8月にオープンしたばかり。店名の「TENERA」はイタリア語で優しい、思いやりのある、愛情のある、という意味とのこと。お店のホームページに綴られている「優しさを持ってパンを焼くことで幸せを感じてもらえるのでは?」「ただパンを焼くのではなく、パンという名の幸せを届けたい」というシェフの想いは、読むだけで心が温かくなるくらい素敵。
この日は千石駅からお店に向かった。場所は分かりやすく、駅目の前の大通りに沿ってまっすぐまっすぐ。
白い壁に足元にちょこんと添えられた緑。その横には腰かけられる縦長の椅子。なんとも爽やかな店構えが、TENERAである。
ガラス張りの引き扉と窓ガラスで、外から中の様子が良く見える。良く見えるからか、店内にとても入りやすい雰囲気。外と中の境界線を足軽に越えて店内に入る。
中の様子はこちら
入ってすぐ目の前にパンが並んでいる。右手にレジ、奥には厨房が。パンが並んでいる棚は厨房や工房の棚のようで、一緒に小麦粉の袋やパンの材料が並んでいても違和感がない。パンが焼かれている厨房の雰囲気が売り場にもあるようで、なんだかワクワクする造りである。
こちらのお店は購入するパンをスタッフの方に告げ、とってもらうスタイル。どのパンを買おうか、迷いながら吟味する。
この日並んでいたのはこちら。
下段に並んでいるハード系のパンの焼き色がたまらない!
上段にはキッシュやスコーン。
思わず目を引いた大きいパン!チーズが溶けて美味しそう。もちろん、こちらはカット売り。
この日購入したのはこちら。
どん!とカット前の状態で並んでいたこちらのパンは、縦長にカットしての販売。表面には見ての通りチーズがたっぷり!癖なくナチュラルなチーズで食べやすい。食感はまさに外かりっ、中じゅわりの理想形。チーズは場所によって厚さが異なり、食べるところによってチーズの濃さが変わってくるのが楽しい。一緒にかけられたハチミツはほんのり。チーズを引き立てる名脇役的存在。
口に入れて真っ先に感じるのは、小麦の香り。深くて低重音、じわじわと奥から漂ってくる香り。フィリングはラムレーズン、オレンジピール、そしてアーモンド。ラムの味がしっかりすることにびっくり。普通のラムレーズンよりラムが濃い。アーモンドの香ばしさも強く、オレンジピールの爽やかさもドストレート。1つ1つ、主張がしっかりしているけれど、それがお互いを邪魔することなくまとまっている。
この日、本当は人気とウワサのクロワッサン目当てで行ったが、あいにく売り切れ。
それでも購入したパンは、クロワッサンが売り切れだったことを残念に感じないくらい素敵なものだった。このパンを食べてしまっては、ますますクロワッサンがどんなものか気になってしまう・・次回は出会えますように・・!
東京都文京区白山4-37-37
電話番号:03-5981-9822
営業時間:10:00~19:00
定休日:水曜日(不定休あり)
https://tenera.jp/
じぇしか/パンハンター Twitter: @je_si_ka_
パン屋さんを見つけたら素通りできない無類のパン好き。食べるのも好きだけどパンの断面を眺めるのが至福。夢は作り手と食べ手が一緒になって、笑顔でパンを囲む場所をつくること。愛してやまないパンの断面は〈パンの断面図鑑〉 https://www.instagram.com/panno_danmen