PANPAK(パンパク)はおいしいパンに出会える
Webマガジン

恋するパン、溶ける心とチョコレート 第1話 ~君の名は、何?~【短編小説】

DATE
2016.11.17
PANPAKからのお知らせ
 YouTubeチャンネル「PANPAK Cafe」始めました
#助け合いベーカリー パンを買ってパン屋さんを応援

koi_01

 

私は、遠くのあの人を思いながらパンを食べる。パンを咀嚼するたびに、あの人との切ない思い出が少しずつよみがえってくるから。

 

11月の秋晴れの日、私は仕事や日常に疲れて秩父に一人旅に行った。秩父札所十二番の野坂寺に行った帰り、お腹がすいてしまい、パンが食べたくなった。私は、日本全国のパンを取り寄せして食べるほどパンが大好きだ。秩父の道を歩いていたら、うさぎの名前がついたパン屋を見つけた。かわいらしい外観で、ちょうどお腹もすいていたからパン屋に入ることにした。

 

そのお店でパンを選ぼうとしたその瞬間、あなたに出会った。

 

koi_02

 

あなたもパンを選んでいた。背の高さや顔の輪郭が、どことなく西島秀俊さんに似ている。パンも西島秀俊さんも好きなので、パンを選ぶそのしぐさだけで、いっぺんに恋に落ちてしまった。

 

けれど、あなたに話しかける勇気なんて、私にはなかった。ちょうど私はその頃、失恋したばかりで、新しい恋を探していた。「どこかに良い人いないかな」と思っていた時に、理想の人に巡り合った。絶対、これは運命だよ。

 

koi_03

 

私はあなたよりも先にパンを買い、店の外に出た。その場でパンを齧りながら、あなたが出てくるのを待った。心臓が飛び出しそうなほどバクバクしている。心を落ち着かせるために、RADWIMPSの「前前前世」を鼻歌で歌いながら、晴れ渡る空を眺めた。だってこんなの、「君の名は。」の三葉と瀧みたい。「前前前世」を歌うしかないでしょう。

 

あなたが店から出てきて、私のほうをチラリと見た。目が合うこと3秒間。

 

私は退屈な日常から抜け出したかった。旅の恥はかき捨てという言葉もあるし。

 

だから「もうどうにでもなれ」と思って、あなたに言った。

 

koi_04

 

「これから一緒に、どこか遠くに行きませんか? このパンを、食べながら」

 

第2話につづく

 

▼物語の後に、こちらのパンはいかが?

埼玉県秩父市のラパンノワールくろうさぎの香ばしい風

 

 

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。

PANPAKからのお知らせ
 YouTubeチャンネル「PANPAK Cafe」始めました
#助け合いベーカリー パンを買ってパン屋さんを応援
30日無料で読み放題「Kindle Unlimited」でおススメのパンの本・雑誌(10選)
         

この記事が気に入ったら
いいねをしよう!

人気記事