パンハンター じぇしかのWebメディア「パンの断面」2019年12月掲載記事からの転載です。< 元記事はこちら >
初めて訪れる人であれば誰でも驚くであろう。そんなびっくりするような店構えのパン屋さん、気まぐれ酵母 ぶんぱん。最寄り駅はJR南武線の武蔵新城駅だが、歩くと15分ほどかかる。周辺はアパートやマンションが立ち並ぶエリアである。
車はめったに通らないのではないだろうか、そのくらい静かな小道を何回曲がっただろう。どの通りも雰囲気が似ているので、もしかしたら遠回りをしてしまったかもしれない。そんな、言ってしまえばどこの街にもありそうな住宅地のあるアパートに、ついに風にはためくオレンジ色ののぼりを発見。
そう、ここが探していた「気まぐれ酵母 ぶんぱん」。
入口はどこだろう、とのぼりと反対側にまわるとパンのイラストが描かれた看板がかかり、その脇に階段。導かれるように、そして思わず足音を立てまいと、そっと、階段を上る。
上りきると、突き当りに女性がのぞき込むようにして小窓を覗いているのが見えた。
ここで間違いなさそう。
先客の女性は常連客だろうか、「いつもの」というような会話をしてパンを購入していった。女性が立ち去った後、なんだか緊張しながら窓口に向かう。
「いらっしゃいませ」と窓口の向こう側に立つ女性から声をかけられる。目の前には両手を広げた分くらいのガラス窓。その窓にそってパンが並べられていた。
この日、伺ったのはお昼過ぎで、並んでいたパンは15種類ほど。本当はもう少しあったんだけど・・とのこと。どのパンも行儀よく並べられていて、派手ではなくほっとする様なたたずまいをしている。
しっかり食感のクラストは香ばしく、クラムはハードでもソフトでもなく、セミハード寄り。中にはフルーツとくるみがぐるぐると巻き込まれている。フルーツはなんと梅酒漬け。口に入れると確かにほんのり梅酒の香りが。初めて食べた組み合わせが美味しくて、衝撃。
ふんわりシンプルな真っ白パン。断面を覗くと巻き込まれている大葉が薄く見える。口に入れると爽やかな大葉の風味とピリッと辛い味噌が広がる。少ない量なのに存在感抜群。この大葉と味噌の組み合わせは後を引く味。
こちらのお店、なんと営業日は水、金、土の週3日のみ。出会えたらラッキー、なパンかもしれない。
住所:神奈川県川崎市高津区千年894
電話番号:070-5010-2882
営業時間:11:00~(売り切れ次第終了)
定休日:月曜日・火曜日・木曜日・日曜日
https://www.facebook.com/bung.0.pang/
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じぇしか/パンハンター Twitter: @je_si_ka_
パン屋さんを見つけたら素通りできない無類のパン好き。食べるのも好きだけどパンの断面を眺めるのが至福。夢は作り手と食べ手が一緒になって、笑顔でパンを囲む場所をつくること。愛してやまないパンの断面は〈パンの断面図鑑〉 https://www.instagram.com/panno_danmen